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Maison BeaulieuMAISON BEAULIEUAB ÉDITIONS · フランス料理と欧州歴史記録の出版館
裁判とスキャンダル · 英国

メリルボーン・フィールズの籠

かつて指物師の徒弟であったウィリアム・マープルと、鳥肉商の商いを学んだティモシー・コットン。二人の若者はやがて英国の追分を脅かす追い剥ぎへと身を落とした。記録は彼らが重ねた幾多の凶行を記す。メリルボーン・フィールズにおける肉売り女への急襲、若き共犯者の伯父から奪った三十六ギニー。しかし法の裁きが下されたのは、トレヴァー大尉の従者スタウトから金品を奪った廉においてであった。一七二九年三月二十四日、両名は刑場の露と消えた。

メリルボーン・フィールズの野道において、ウィリアム・マープルとティモシー・コットンの両名は、貴紳の屋敷へ商品を届けに向かう途上の肉売り女の行く手を阻んだ。二人は女が抱える籠を改め、翌日の昼餉に充てるべく上等の羊の腿肉を一つ掠め取ると、さらにその懐を探った。女は一文も持ち合わせてはいないと訴え出たが、懐中から七シリングの銀貨が見つかるや、マープルは虚言を弄したと咎め立て、容赦なくその身に打擲を加えた。

年代記の記者は、この挿話をマープルが重ねた初期の悪行の一つとして掲げている。しかし、その生い立ちを振り返るならば、本来歩むべき道はまったく異なる方角を指し示していた。身代確かな由緒ある両親のもとに生を受けたマープルは、都市と近郷の学校において十全たる教養を授けられた。やがて職工の道を歩むべき齢に達すると、職を転々と変え、三度の挫折を経てようやく一人の指物師のもとへ弟子入りした。徒弟の年限が明けぬうちに、彼はある若い女と見初め合い、祝言を挙げた。だが、この婚儀と記録には詳らかにされぬ事情を知るに及んで親方との間に確執が生じ、両者は袂を分かつに至った。

マープルは、記録者が「貞淑にして勤勉」と評したこの先妻を深く慈しんでいた。記録の伝えるところによれば、妻の薫陶は放縦な若者を一変させ、彼は堅実に働き、身入りを得て、家庭にあって穏やかな日を送ったという。だが、その妻が病臥の末に世を去った。喪の悲歎がようやく薄れかけた頃、彼がかつての悪癖を再び呼び覚ましたと記録は語る。妻の没日や詳細な経緯は書き残されていない。マープルはやがて町を去って近隣の村落へと移り住み、そこで金銭と華美な衣類に執着する一人の女と昵懇になった。記者は、彼が遊興の資を得るため不当な手段に手を染め始めたのは、まさにこの時期であったと見立てている。

彼が最初に結託した共犯者の素性については、確証が得られていない。巷間ではロードンなる男が彼を追分強盗の世界へ引き入れたと噂されていたが、マープル自身は終生これを否定し続けた。記録者自身も、誰が彼を初めに路傍の凶行へと駆り立てたのか断定し得ず、他者の悪影響か、あるいはマープル自身の性癖と窮乏によるものか、二通りの解釈を並記するに留めている。この慎重な態度は、全編を貫く峻厳な倫理的断罪の調子とはいささか趣を異にしている。ともあれ、彼はやがて一味の中でも最も気脈の通じた凶徒と化し、富者と貧者の別なく牙を剥くようになった。


次なる凶行の企ては、資産家の伯父を持つ一人の若者からもたらされた。この親族は甥の真の更生のためには惜しみなく手を差し伸べる覚悟を持ちながらも、その放埓な遊蕩に資材を投じることだけは断じて拒んでいた。甥と別の男は、この伯父の屋敷から金を掠め取る計画をマープルに持ちかけた。マープルと甥が屋内に押し入って盗みを働き、もう一人の仲間は門口で見張りを務めた。奪い去った金員は約三十六ギニー、これは三者の間で等分された。マープルはほどなく捕縛され、ニューゲート監獄へと収監された。だが、伯父は身内の不名誉を公にすることを懼れ、告訴を取り下げた。それゆえ、この一件に関して記録は何ら司法の判決を伝えておらず、ただ親族が訴追を断念した旨を記すのみである。もっとも、この身内の温情も彼の暴虐を止めるには至らなかった。記録は、彼がその後わずかな期間のうちに三十から四十件もの襲撃を重ねたと伝えている。

記者は、マープルが泥酔の悪習を嫌悪していたと記す一方で、その犯行の動機を女たちへ注ぎ込まれた蕩尽に帰している。その情婦の列には、かの名高きジャック・シェパードの愛人であったエリザベス・ライオンの名も連なっていた。マープルは彼女の厚顔無恥に愛想を尽かし、やがてその同棲に耐えかねるようになったと記録される。後年、彼が落魄の身となった際、彼女を「最悪の生ける悪徳」と罵倒した。その後、彼がこの手の女たちとの交わりを絶ち、やがて迎えた後妻について、記者はその容姿と世評の慎ましさを称賛している。マープルの申し立てによれば、この妻は夫がいかなる手段で金銭を手に入れていたか、何一つ知らされていなかったという。なお、記録はいずれの妻の名も伝えていない。

一方のティモシー・コットンもまた、初めは実直な職能に励んでいた。貧しくとも謹厳な両親の手によって相応の教育を受け、鳥肉商の商いを仕込まれた。彼は懸命に立ち働き、それ以上の贅沢を望むことなく一家を養うに足る実入りを得ていた。この生業は、彼を清貧のうちに留める防壁であった。しかし、彼もまた一握りの女たちに迷い、記者の言を借りれば「時間と財貨をことごとく吸い取られた」。かくして、手っ取り早く実入りを得る悪道へと足を踏み入れたと記者は解釈している。コットンとマープルはかつての学友であった。コットンが捕縛されるまでに犯した強盗は五件を出ず、そのうち三件がマープルと手を組んだものであったという。

ハムステッド街道における急襲は、記録に遺された二人の共謀の第二幕であった。彼らは一台の辻馬車を押し止め、乗客の手荷物をことごとく奪い去った。そこへ折悪しく三人の紳士が騎馬で通りかかった。マープルは短銃を突きつけ、一刻も早く立ち去るよう一喝した。ところが騎馬の紳士らは恐怖のあまり、その下知を「所持金を差し出せ」という脅迫と取り違え、慌てて懐中へ手を伸ばした。その誤解に気づかぬマープルは、疾く立ち去れとさらに鋭く怒号を浴びせた。ようやく言わんとすることを悟った三騎は、馬首を巡らせて一目散に駆け去った。記録はこの紳士らが略奪を受けたとは記しておらず、逃走の命と強奪の恐怖が交錯した滑稽な齟齬の瞬間を留めている。

それから間もなく、二人の凶手はトレヴァー大尉の従者スタウトに狙いを定めた。彼らはその帽子、二ポンドの牛酪、靴の留め金、五シリング六ペンスの銀貨、ならびに数点の雑多な小物を強奪した。この掠奪の廉により、マープルとコットンは捕縛され、続くオールド・ベイリーの開廷期において法廷に引き出された。記者はその証拠が微に入り細を穿ち確立されていたと評している。両名には有罪の評決が下り、死刑が宣告された。彼らを死刑台へと直結させたのはまさにこの一件の訴追であり、他の夥しい余罪は過去の遍歴の叙述として添えられたに過ぎない。

死刑宣告を受けたマープルは、この種の罪囚にありがちな狼狽を見せることなく、平然たる態度を保っていたと記録者は観察している。彼はスタウトに対する強盗のほかに、法廷で裁かれざる幾多の余罪を自発的に自供した。数々の被害者を打擲した事実は認めつつも、命を奪う意図は毛頭なかったと弁明し、被害者たちへ許しを請い、自らの魂のために祈ってほしいと言い残した。彼はとりわけ、母の訓戒を蔑ろにし、親不孝を重ねたことを痛恨の情をもって悔悟した。しかし、これらの告白において、他に危害を加えた者の名や犯行の仔細な日時は明かされなかった。

これに対し、コットンは最期の数日間において、より深い痛切な悔恨の情を示した。二人が一貫して強く主張したのは、互いの妻たちが自分たちの凶行に一切関与しておらず、教唆したこともなければ、夫の罪状について露知らぬ身であったという点である。彼らは、記者が青年の堕落の原因としてあげつらった悪女たちと、自らの妻たちとを厳格に峻別した。これは罪囚自身の申し立てとして後世に記録されるべき証言であり、それぞれの妻が真実に何を知り得ていたかを軽々しく忖度すべきではない。

一七二九年三月二十四日、マープルとコットンの刑が執行された。前者は三十歳前後、後者は二十五歳ばかりの若さであった。記録が伝える犯行の数々は、あわれな肉売り女の粗末な籠から、街道の旅人や従者の手荷物に至るまで多岐にわたる。しかしながら、彼らの命を奪った有罪判決の根拠は、終始あの従者スタウトから奪った僅かな手回り品に置かれていた。年代記は彼らの夥しい余罪と遅すぎた懺悔を書き留めているが、公の司法記録に遺された彼らの終焉は、畢竟、この一つの裁判の結末に帰着する。

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この実在事件の記録をお読みいただきありがとうございます。本事件をもとに3つの小説企画(中篇・長篇・三部作)を構想しています。あなたが最も読みたい作品にぜひご投票ください。

中篇小説(ノヴェラ)

雪に残る肉片

市場の鳥肉商アニェス・ヴォートランを巡る架空の犯罪短編。ある朝、自分の籠が判事の屋敷から盗み出された宝石の運搬に利用されていた事実を知る。指輪を売り捌こうとした配達の若者が捕縛されるが、籠の柄に結ばれた飾り紐は別の店の品であった。公判が始まる前に、何者が籠をすり替えたのかを突き止めねばならない。人物・事件は創作。若者は共犯か、それとも欺かれた運び屋に過ぎぬのか。すべての商人が同じ籠を目撃していた市場を舞台に描く本格法廷探索劇。

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長篇小説(ロマン)

四人の徒弟の工房

指物師の親方の失踪と、工房の金庫破りを軸に展開する架空の歴史警察小説。三度の挫折を経てようやく居場所を見出した徒弟リュシアンに疑惑の目が向けられる。二人の兄弟子は彼が金入りの革袋を持っていたと証言するが、親方の妻は木材の代金として自分が手渡したものだと庇う。折しも書記官の娘が、ある殺人を隠蔽するために偽造された婚姻契約書の存在を暴き出す。金を奪ったのは誰か、家族の確執を利用したのは何者か。職人の世界を舞台にした青春と犯罪の年代記。

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大河三部作(トリロジー)

三つの生業、三つの強奪

職人の固有の技法が事件の鍵を握る連作歴史ミステリ三部作。倉庫の不審火で告発された鳥肉商、遺言書の偽造を疑われる製本職人の女、そして貴族の金庫強奪事件に巻き込まれた辻馬車の御者。盗み出された一冊の借財元帳が、巻ごとに顔触れを変える登場人物たちの背後で不気味に浮かび上がる。人物および事件はすべて創作。果たしてその帳面を記したのは誰か、なぜ特定の頁だけが切り取られていたのか。手仕事の誇りと借財の闇が交錯する三部作。

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歴史的典拠と文学的再構成について

原典通読済み。処刑の日付は一七二九年三月二十四日と明記されているが、個々の強盗事件および裁判の正確な日時は記されていない。マープルとコットンに下された有罪判決は、トレヴァー大尉の従者スタウトに対する強盗罪(帽子、牛酪二ポンド、靴の留め金、五シリング六ペンス、その他小物の強奪)に基づく。肉売り女の襲撃や伯父の屋敷からの盗奪など、他の犯行は前歴の叙述として語られるに留まり、本件裁判の公訴事実としては扱われていない。ロードンなる男が犯罪に導いたとする説について、マープル自身は頑なに否認しており真相は不詳である。当時の記録者が犯行の原因を情婦の存在に帰する傾向には多分に時代的な偏見(ミソジニー)が含まれており、本文ではその文脈を明確に客観化した。また、両受刑者は自らの妻が事件に一切関知していなかったと証言している。妻たちの本名は記録されていない。

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