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Maison BeaulieuMAISON BEAULIEUAB ÉDITIONS · フランス料理と欧州歴史記録の出版館
裁判とスキャンダル · 英国

面影を知る仲買人

リチャード・ギフォードはウィリアム・グリーン、次いでリチャード・マンと名を偽り、債権の売却益と配当の詐取を図った。最初の犯行では、ある仲買人の父がその顔に見覚えを抱いたことで難を逃れたものの、続く詐欺において、まさにその仲買人自身に正体を見破られることとなる。オールド・ベイリー刑事裁判所で罪を認めた彼は死刑を宣告され、一八二九年十月、刑場の露と消えた。

リチャード・ギフォードは、ウィリアム・グリーンの名を騙った詐取を首尾よく成し遂げたのち、今度はリチャード・マンと名乗ってイングランド銀行に姿を現した。二度目の手口には身元保証人が欠かせなかった。そこで彼は、先の換金を取り持った株式仲買人リントン氏の名を告げたのである。この身元照会は、皮肉にもこれ以上ない確かな効力を発揮した。その名こそが、彼を欺瞞の主として暴く端緒となったからである。カムデン・ペラムの編年誌が記すところによれば、策士は自ら仕掛けた罠に落ちた。支払いの道を開くはずの証人こそが、他ならぬ偽名者を見破り得る唯一の男であったのだ。

一八九一年に刊行されたこの集成録は、一八二九年の事件を伝えるとともに、悪友との交わりや酒色への溺溺、恩義を仇で返す行いへの戒めを説く説話としての色合いを帯びている。この道徳的断罪は編纂者の視座によるものであり、ギフォードの生涯の節目ごとに絶えず差し挟まれる。しかし詐欺の経緯そのものは、より具体的な事実から辿ることができる。二つの偽名、二つの異なる受取金、受領証の控え、そして一度は功を奏しながら二度目には身を滅ぼす因となった「人相の識別」である。原典は詳細な公判調書を載せてはいないが、犯行の手口と被告の罪状認否を克明に物語っている。

かつてギフォードの前に開かれていた前途は、何ら偽りを要せぬ正道であった。父はのちに下院議長およびコルチェスター男爵となるアボット氏の屋敷で下男を務め、母もまた同じ家で女中として働いていた。両親の婚姻後、アボット卿の引き立てにより父は下院付の職を得る。長男のリチャードもまたこの庇護に浴し、名門のブルーコート・スクール(クライスツ・ホスピタル)に進んだのち、議会事務局で筆生として雇われた。やがてコルチェスター卿の口添えにより、彼は国家債務管理庁(ナショナル・デット・オフィス)に確たる職を得るに至ったのである。

当初、その勤務ぶりは何ら申し分ないものであった。上役の死や昇進、異動にも恵まれ、彼の昇任は順調を極めたとペラムは記す。だがやがて、無断欠勤と職務怠慢が頭をもたげ始めた。幾度となく停職処分を受けながらも、有力者の執り成しによって職に留まることができた。しかし、そうした復職も長続きはしなかった。欠勤は度重なり、ついに行政組織も彼を解雇するよりほかなくなったのである。書物が際立たせるのは、幾度も手を差し伸べられながら、与えられた地位を自ら手放していった男の転落の軌跡である。編纂者はこの頽廃を酒癖と交友関係の乱れに帰しているが、当時の人事記録そのものを引いているわけではない。

行方の知れなくなった息子を前に、家族は一時はその死さえ覚悟した。母がようやく隠れ家を突き止め、連れ帰ったものの、再び逃げ出さぬよう両親は帽子も金も奪い、着る物すら事欠く状態にして家に閉じ込めた。ペラムの記述において、親心は極めて物質的な監禁の形をとって現れる。ギフォードは当初、悔恨の情も見せねば身の振り方を案ずる様子もなかった。だが、わずかに改心の兆しが見えたと安堵した母が外出に同伴し始めた矢先、彼は再び姿を消す。その際、両親の仕打ちを決して忘れはせぬと捨て台詞を残したという。記録はこの脅迫めいた言葉を留めているが、彼が親に対して何を企てていたのかまでは詳らかにしていない。

やがて、彼がウォータールー・ロード界隈で身なりを整え、表向きは何不自由ない紳士然とした暮らしを送っているとの噂が立った。その暮らしぶりの好転について、彼は裕福な女と婚姻を結んだためだと吹聴していた。むろん、これは本人の弁明に過ぎず、集成録が婚姻の真偽を裏付けているわけではない。ほどなくして、彼はイングランド銀行に対する偽造の罪でロンドン市長の法廷へ引き据えられることになる。金と名は、家庭の幸運という作り話とはまったく異なる形で、司直の記録へと刻まれることとなった。

三月六日、ギフォードはショーターズ・コートの仲買人リントン氏を訪ね、クルシフィクス小路の職人ウィリアム・グリーンの名義となっている公債の売却を求めた。見知らぬ客の申し出に、リントンは当初応じることを拒んだ。するとギフォードは、国家債務管理庁で幾度も見かけているはずだと、仲買人の父の名を持ち出したのである。呼び出された父は、確かにどこかでこの男に会った記憶はあるものの、それがどこであったかは思い出せないと証言した。だが、息子にとってはそれで十分であった。グリーンの本人確認には程遠いあやふやな記憶が、仲買人の警戒心を解いてしまったのである。

リントンは名義書換の手続きを整え、ギフォードはグリーンの名で受領証に署名した。過去の配当受領証に残る署名と照合されたが、筆跡は符合するものと見なされた。ペラムはこの照合について記すのみで、ギフォードがいかにしてその筆跡を再現し得たのかには触れていない。したがって、偽造のための見本や副次的な書類の存在は判然としない。訴状は、グリーンの名を騙り、同行の元帳に記載された額面百二十五ポンドを詐取した罪を問うていた。

この取引から数日後、ギフォードは今度はリチャード・マンと名乗り、イングランド銀行のロタンダ(円形回廊)へと足を踏み入れた。マンなる人物は三百ポンドのコンソル公債を所有していた。今回の目的は元本の売却ではなく、二十七ポンドの配当金の受領にあった。ギフォードは近くの仲買人に受領証の証人を求めた。その仲買人が身元保証人を求めると、彼は事もあろうにリトンの名を挙げたのである。リントンは目と鼻の先にいた。直ちに呼び出された彼は、グリーンと名乗って自らを欺いた男の顔を、その場で一目で見抜いた。父の頼りない記憶にすがる必要はもはやなかった。目の前の容貌が、いかなる詐謀と結びついているかを、仲買人はすでに知り尽くしていたからである。

一八二九年十月のオールド・ベイリー会期において、ギフォードは問われた二つの罪状をいずれも認めた。ペラムは、グリーンの百二十五ポンドとマンの配当二十七ポンドの件を峻別して記している。また裁判官は罪状認否の撤回を促したものの、被告がそれを退けたとも付言している。なぜ裁判官が撤回を勧め、なぜギフォードが拒絶したのか、その真意を記録は伝えていない。宣告されたのは死刑であった。ロンドン裁判管区記録官(レコーダー)から国王への上奏を経て、死刑執行令状が下された。書物に描かれた二つの詐欺は、等しくこの過酷な結末へと収斂していったのである。

一八二九年十月十九日、月曜日。ギフォードは家宅侵入の廉で断罪された二人の男とともに処刑台へと送られた。享年二十六。ペラムの描写によれば、彼は取り乱し、怯えた視線をあたりに走らせたのち、深き悔悛の情を示したという。この哀れな終末の姿もまた、編纂者の手による彩色にほかならない。だが、仲買人たちとの邂逅が織りなした光景は、また別の陰影を投げかける。おぼろげな記憶が彼にグリーンの大金をもたらし、真新しい記憶がマンと名乗る同一の男を捕縛せしめた。彼が拠って立つべきものとして口にした唯一の確かな名、それこそが彼を破滅へと引き渡したのである。

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中篇小説(ノヴェラ)

最後の幕

全編書き下ろしの短編小説。地方巡業劇団の若き役者が、自分を育て上げてくれた古参の歌姫を解雇することを条件に、新作の主役に抜擢される。かつての恩人たる座長は自らの援助を盾に服従を迫り、一方の歌姫は、端役たちに約束された未払い給金の支払いを求めて退団を拒む。初日の幕が上がる前夜、若者は役者としての栄達を守るべきか、それとも己を支えてくれた一座の契約の不公正を白日の下に晒すべきか、重い決断を迫られる。詐欺や歴史的裁判を描くのではなく、恩人への義理と職責を共にする仲間への信義の狭間で揺れる葛藤を描く。

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長篇小説(ロマン)

庭園の継承者たち

架空の歴史長編小説。ある地主の急死に伴い、遺言執行を託された管財人は、故人が実子同然に育て上げた二人の青年に領地を分配せねばならなくなる。だが遺言書に記されていたのは一方の名のみであった。老家政婦は、その不平等の裏に隠された秘密を記した一通の書状を秘匿している。それを明かせば一族の名誉は地に堕ち、握り潰せば長男は故郷を追われることになる。偽造の証書による決着ではなく、遺産を巡る相続人たち自らの受容と葛藤の軌跡を追う。旧家が他者の手に渡りゆく時代の黄昏と、人が真に遺し得るものは何かを問う物語。

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大河三部作(トリロジー)

空位の座

羨望の的であった栄ある地位を失い、人生の再起を期する人々を描いた三部作の長編小説。かつての名歌姫は施療院の園丁へと身を落としながら、病床の環境を整える天賦の才を見出していく。探検隊から追放された地理学者は、地図なき険峰を越えゆく難民たちの案内人を引き受ける。官吏登用試験に挫折して帰郷した元女教師は、寒村に夜間学級を立ち上げる。それぞれの物語は、社会的失脚を新たな決意へと昇華させていく。犯罪や実在の人物をなぞることなく、人生の再起と社会的地位の代償を描き出す。

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歴史的典拠と文学的再構成について

ペラムの集成録の当該章は、二つの訴因と司法手続きの結末を詳細に記録している。ただし、道徳的な人物描写や処刑台での悔悛の態、個々の識別を巡る細部については、後世の編纂者による記述に基づいたものであり、当時の公判記録の文言そのものではない点に留意されたい。

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