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Maison BeaulieuMAISON BEAULIEUAB ÉDITIONS · フランス料理と欧州歴史記録の出版館
裁判とスキャンダル · 英国

ジョン・リトルの遺書

一七二五年、イングランド。ロンドン近郊の街道筋での強盗や押し込みを重ねた末、ジョン・リトルはディア邸に対する家宅侵入および窃盗の罪で法廷に立たされた。かつての片腕であったビュールが己の赦免と引き換えに証言台に立つと、リトルは面識を頑なに否定したものの、死刑判決が下るやその偽証を認めた。流刑への減刑の願いも虚しく、彼は同じく罪業に身をやつす妻へ改心を促す手紙を認めたのち、同年九月十三日、タイバーンの露と消えた。原典に彼の年齢の記載はない。

死刑宣告を受けたのち、ジョン・リトルは妻へ宛てて一通の手紙を認めた。それは、かつて自らとともに悪事に手を染めた伴侶を、その破滅の道から引き戻さんとする痛切な叫びであった。手紙の中で彼は、囚われの身の悲惨、白日のもとで晒される処刑の恥辱、そして死後に待つ永遠の懲罰への恐れを書き連ねた。公判の場では相棒の存在すら頑なに否定していた盗賊も、もはや言い逃れを続けることはできなかった。いまや己の偽りを告白し、下された判決の正当性を静かに受け入れていたのである。

実録によれば、リトルはかつて海に身を投じていたという。ジョージ・ビング卿(のちにトリントン子爵に叙された提督)率いる艦隊に属して地中海遠征に従軍し、次いでコバム卿によるヴィゴ遠征にも加わった。記録の筆者は、彼が略奪の味を覚えたのはこの軍旅においてであったと記している。その後、商船に乗り組んでスウェーデンへ渡った際にも、手当たり次第に金品を盗み取ったとされる。記録はこうした航海の日々を、やがて故国の地へ持ち帰ることとなる盗奪の技を磨く揺籃の時期であったと捉えている。

この転落の端緒を引き合いに出し、筆者は軍事遠征がもたらす弊害について一場の教訓を垂れている。日頃から敵を略奪し、痛めつけることに慣れきった兵員は、往々にして故郷に戻っても同様の行いを繰り返すものであり、戦利品への執着は交戦相手と国王陛下の臣民との境界すら見失わせる、と筆者は指摘する。将校たる者は、一場の利得への期待ではなく、祖国への献身と正義の擁護をもって兵を鼓舞すべきであったと嘆息するのだ。その論理に従えば、兵士たちに植え付けられる動機こそが、目先の勝敗と同じく重い意味を持つことになる。リトルの生い立ちに立ち返る前に挿入されたこの警句は、水兵上がりの若者が手を染めた最初の盗行を、より大所高所の問題へと繋ぎ合わせている。すなわち、遠き異境において権力が黙認した悪習は、やがて権力が守るべき内国の民へと跳ね返ってくるのだ、と。

英国へ舞い戻ったリトルは、ハンリーと名乗ることもあったジョン・ビュール、そしてベルチャーと呼ばれる男と交友を結んだ。実録の推測によれば、彼らは悪知恵を吹き込み、要領よく立ち回りさえすれば泥棒稼業など児戯に等しく、危険など微々たるものだと思い込ませたという。また記録は、リトルを放蕩癖のある男として描く一方で、その妻についても、街路に出ては掏摸によって露命を繋ぐ女であったと断じている。筆者の言によれば、妻は夫を悪の道から引き止めるどころか、むしろ煽り立て、背中を押し、企てられた悪事の数々に進んで手を貸したという。むろん、これは記録者の筆致による人物描写であるが、その後に続く事実の推移を見る限り、夫婦と仲間たちが一体となって同じ悪事に手を染めていたことは疑いようもない。

一味はロンドン近郊の街道筋や、界隈の行楽地を主な縄張りとした。サドラーズ・ウェルズやベルサイズの盛り場において、彼らはひどく酔い潰れた客に狙いを定めた。獲物が一人きりになり、都合のよい場所へ差しかかるのを見計らって背後から詰め寄り、わざと体をぶつけて喧嘩を仕掛けるのである。その揉み合いの混乱に紛れて懐を探り、帽子やかつらを奪い、目につく限りの金品を掠め取った。すべては街角のありふれた諍いを装って行われ、雑踏の騒乱が盗みを覆い隠した。こうして奪い取った獲物は一味の夜ごとの放蕩に消え去り、瞬く間にまた次の獲物を探さねばならなくなった。

やがて街道での追剥ぎの実入りが心許なくなると、一行はより確実な実入りの見込める家宅侵入、すなわち押し込み盗盗へと舵を切った。湯水のごとく散じる費用の穴埋めのため犯行は数を重ね、彼らの名は追手を引き止める役人たちの間でも次第に知れ渡っていった。さらに仲間内では、獲物の分配をめぐって絶えず諍いが絶えず、互いに猜疑の目を向け合っては脅迫や暴力沙汰にまで発展した。リトルは時に己の取り前を削って仲裁に入り、仲間たちの手打ちを図ることさえあった。

この寄る辺なき暮らしの脆さこそ、筆者が繰り返し嘆じる矛盾であった。どれほど獲物を積み上げようとも貧窮の泥沼から抜け出すことは叶わず、捕縛の恐怖と仲間割れの軋轢が、彼らの自由を内側から蝕んでいったのである。リトルをさいなむ不安は、官憲の探索の手ばかりではなかった。いつ仲間が裏切り、己を密告するやもしれぬという疑心暗鬼が、彼を怯えさせていた。そしてその恐れは、ほどなくして現実の姿をとって現れることになる。


リトルによってこの泥棒稼業に引き込まれたと称するビュールが、己の免責を勝ち取るため、官憲へ密告の手を回したのである。それから数日のうちに、リトルは捕縛された。次の開廷期において、彼はミスター・ディアの邸宅へ押し入り、起訴状に列挙された数々の家財を掠め取った罪で法廷に立たされた。被害者は被害に遭った品々の明細を証言し、ともに押し込みに加わっていたビュールは、犯行の仔細をつぶさに法廷で語って聞かせた。

リトルの弁明は脆くも崩れ去った。自らの有罪を悟りながらも、彼は法廷でビュールなど見知らぬ男だと嘯いたのである。もし陪審員がその虚言を信じれば、リトル個人の関与を直接証明できない被害者の証言だけでは有罪に持ち込めないだろうと踏んだのだ。奪われた金品と邸宅への侵入の手口という点において、二人の証人の役割は異なっていた。被害者は盗難の事実そのものを立証し、共犯者のビュールは奪った品目を明かしつつ、リトルと犯行を直接結びつける役割を果たした。そしてビュールが語る細部の信憑性は、陪審団の心証を勝ち得るに足るものであった。リトルに下された評決は、有罪であった。

追い詰められたリトルは、植民地への流刑に減刑してほしいと必死に哀願した。しかし裁判官たちが慈悲を示す気配はなく、彼もまた徒な希望にすがることを諦めた。死刑囚として監獄の暗がりに留め置かれるなか、夜ごとを彩った邸宅への侵入も、悪友たちとの狂乱も、掠め取った獲物の数々も、すべてはすでに閉じられた過去の夢幻へと縮んでいった。記録の筆者は、彼が法廷での偽証を認め、下された刑罰の正当性に服したと伝えている。

彼が何よりも案じていたのは、同じく盗みの道に手を染め、いずれ己と同じ断頭の運命を辿るやもしれぬ妻の身の上であった。妻へ認めた書簡には、その胸中を占める苦悶が克明に綴られていた。獄中の惨苦、衆人環視のなかで死を迎える不面目、そして来世において下されるであろう神の裁きへの畏怖。彼はこれら自らの苦難を他山の石とし、これまで溺れてきた悪業を即刻断ち切るよう、切々と懇願したのである。筆を置いたのちは、この世の浮世事から心を解き放ち、ひたすら神へと魂を向けた。実録の記すところによれば、彼は残された日々のすべてを祈祷と真の悔悟の探求に捧げたという。目前に迫る刑死の恐怖が、彼にその全生涯の行状をひと息に振り返らせたのである。

最期の刻限が近づくにつれ、リトルは礼拝堂での祈りと勤行に身を沈めていった。己が生涯においていかに邪悪であったかを告白し、自らの犯した罪科に胸を痛めて、ひたすら神の憐れみを乞い願った。実録の筆者は、現世での不名誉な死への恐怖と、神による峻厳な審判への畏怖とを截然と区別し、後者こそが彼の最期の日々を真に支配していたと見なしている。この改悛の情から筆者が引き出す道徳的訓戒をいかに評価しようとも、そこに描かれた男の振る舞いは、ただひたすらに許しを乞い、従容として死を受け入れようとする死刑囚のそれであった。

一七二五年九月十三日、ジョン・リトルはタイバーンの処刑場へと引き立てられ、刑が執行された。記録者が目を通した公文書の類に、彼の行年を伝える記述は残されていない。その名は、陪審員に有罪を確信させた裏切り者ビュールの名とともに、そして、同じ破滅の淵へ落ちゆくことを恐れて妻へと書き送ったあの一通の遺書とともに、歴史の片隅に留められている。押し込み強盗の共謀を隠し通そうと足掻いた男は、その最期の数日を、己の罪を認め、同じ過ちを繰り返すなと妻にすがり続けることに費やしたのである。

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この実在事件の記録をお読みいただきありがとうございます。本事件をもとに3つの小説企画(中篇・長篇・三部作)を構想しています。あなたが最も読みたい作品にぜひご投票ください。

中篇小説(ノヴェラ)

証人のかつら

舞踏場の給仕係が、ある客の外套に昨夜実の兄から奪われた品が隠されているのを目撃する。疑いは被害者の旧友へと向けられるが、男は押し入られた屋敷など見たこともないと抗弁する。二人の諍いを唯一立ち聞きしていた女中が、容疑者がブリストルへ逃亡する前に口を開くべきか葛藤するなか、劇場の楽屋裏に動かぬ証拠を隠したのは誰だったのか。裏切りと疑惑が渦巻く短編歴史ミステリ。

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長篇小説(ロマン)

ベルサイズの闇夜

ロンドンの歓楽街から千鳥足で帰路につく客を狙う追剥ぎの一味。ある夜、路上で変死体が発見され、掏摸の女は己の夫が相棒の手によって役人へ売られたことを知る。奪われた帽子を手がかりに、彼女は二人が獲物を隠した郊外の別邸へと潜入するが、相棒を捕縛すれば、無実の罪を着せられた実弟を救える唯一の証人をも道連れに処刑台へ送ることになる。義理と正義の狭間で揺れる長編歴史犯罪小説。

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大河三部作(トリロジー)

夜明けの告白録

従軍から帰還した元水兵が、かつての仲間から身に覚えのない押し込み強盗の罪で告発される第一部。居酒屋を取り仕切る女が、夫の企む危険な強奪計画の凶兆に気づく第二部。そして死刑囚の遺書が真の密告者の正体を暴き、若き弁護士が法廷の欺瞞に立ち向かう完結編。奪われた品々が人手を渡り歩くなかで浮かび上がる、運命の交錯を描いた大河犯罪小説三部作。

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歴史的典拠と文学的再構成について

現地記録文書 newgate-080(SHA-256 783cece94401b6cbbb089b77c4508dc68f996175358cce2e8194155f2d2b175c)の全容精読に基づく。原文には、ジョージ・ビング卿の艦隊およびコバム卿のヴィゴ遠征への従軍歴、スウェーデン商船での勤務、ロンドンにおけるジョン・ビュール(別名ハンリー)やベルチャーとの追剥ぎ、さらに押し込み強盗への推移が詳述されている。ビュールが免責を目当てに密告し、ミスター・ディア邸の事件で法廷証言を行ったこと、公判でリトルが面識を否定したのちに有罪となり流刑を請願したこと、のちに偽証を認めた事実も確認される。妻宛ての書簡および一七二五年九月十三日のタイバーンでの処刑についても記録されるが、年齢や被害品目の詳細は記されていない。編注[67]–[68]は不採用とした。妻の人物像や軍事遠征の弊害、改悛に関する筆者の道徳的評価は、原典の記述主体の見解としてそのまま維持した。公開コーパス lot-06-300 および下書き Cap400 における照合の結果、リトル、ビュール/ハンリー、ベルチャー、ディア邸事件の一致は皆無である。ベルサイズの地名はジェームズ・ショーの別件記録(馬車襲撃前の立ち寄り先)にも現れるが、事件や人物の重複はなく、物語上の重複も存在しない。

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