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Maison BeaulieuMAISON BEAULIEUAB ÉDITIONS · フランス料理と欧州歴史記録の出版館
裁判とスキャンダル · フランス

主を裏切りかねぬ犬

コルシカ重罪裁判所における一八八五年六月の公判記録は、アルベルティーノ・デフェンディーニに対する銃撃事件、アンジュ=ドミニク・ヴィトーリおよび未亡人コロンブ・コロンバーニに向けられた嫌疑、そして二人に下された明暗分かれる結末を伝えている。未亡人には無罪判決が下り、ヴィトーリには二十年の強制労働刑が言い渡されたのである。

銃声が響いたのは、カゼッラへと通じる道すがら、パン焼き窯の程近くであった。一八八四年十一月三日の夕刻、アルベルティーノ・デフェンディーニはリュシー・ペリの小屋を辞し、帰途に就いていた。起訴状の記述を引く『裁判公報』によれば、彼は激痛を覚える直前に一発の轟音を耳にしたという。弾丸は右の腸骨稜から左の筋肉を貫通して腰部に達しており、のちに同部から摘出された。この傷により、彼は三箇月余りのあいだ労働を奪われることとなる。記事の冒頭は、斯くのごとく、隣人同士のいさかいが今や殺意の淵へと至った様を告げている。

六月八日付および九日付の同紙は、ルイッジ評定官の裁判長代理のもと、一八八五年六月一日と二日に開かれたコルシカ重罪裁判所の公判を詳報している。法廷に立った被告は二名であった。見出しにはアンジュ=ドミニク・ヴィトーリ(表題部では Vitori、本文中では多く Vittori と表記)と未亡人コロンブ・コロンバーニの名が並ぶ。記事は謀殺未遂およびその幇助を掲げていたが、結びの判決主文は二人の命運を截然と分かつこととなる。記事は起訴状に記された犯罪事実から説き起こし、証人喚問、被告の答弁、弁護人の弁論へと筆を進める。検察の主張、法廷に響いた生々しい言葉、そして弁護人の抗弁が、それぞれ秩序を保って記録されている。

デフェンディーニと、カザルタに住むコロンバーニ未亡人との間には、かねてより不和の種が燻っていた。公報の伝えるところによれば、未亡人は、自らの飼い豚が畑を荒らした廉で、デフェンディーニが飼い犬を嗾けて噛ませたことを激しく咎めていたという。さらに同年十月十一日、セイヨウヒイラギガシの枝を巡り、未亡人とマリー=ドミニク・デフェンディーニとの間で諍いが勃発した。そこへ割って入ったアルベルティーノが突き飛ばしたため、未亡人は無惨に地面へ倒れ伏した。同紙によれば、彼女はそれ以後、怨恨を露わにし、銃器を用立てたことを誇示しながら「アルベルティーノら夫婦の命もそう長くはあるまい」と脅迫に及んでいたとされる。

一方のヴィトーリもまた、デフェンディーニに深い遺恨を抱いていた。ポール=トゥーサン・サントーニの飼い犬をデフェンディーニが自分の家畜にけしかけていると思い込み、サントーニ本人に談判して苦情を申し立てていたのである。凶行の数日前、彼はデフェンディーニと激しい口論に及び、同紙の言を借りれば、その場でも露骨な敵意を覗かせていたという。未亡人は、かつて自らの財産差押えにヴィトーリが立会人として関与して以来、彼と絶交していた。しかし記録は、やがて両者が再び結託したと伝える。十一月三日、キオザーレにおいて親密に言を交わす二人の姿が目撃されたのである。検察側は、この接触こそが復讐の企てを再燃させた端緒であると見なした。

その日、ヴィトーリは母の家に身を寄せていた妹ジャンヌを連れ出し、パストリッチョーレを出立した。ヴィーニャ=ピアーナに至ると、彼は妹に一匹の猟犬を託し、綱をつけて家まで連れて帰るよう言い含め、自らは銃を手に別方向へと姿を消した。別れ際、彼はトリバルドに着き次第、犬をしっかりと繋いでおくよう妻に言えと妹に厳しく命じた。同紙はこの用心深さを重大な兆候と見立てている。もし犬が主人の後を追って戻ってくれば、カゼッラにおける自らの潜伏を周囲に露見させかねないからである。この論評はむろん新聞記者による推測であるが、妹にそう指示したという事実自体は記録として残されている。

ヴィトーリが帰宅したのは、夜も更けきった時刻であった。トリバルドとカゼッラは、新聞の記すところでは指呼の間にあったという。負傷したデフェンディーニの証言によれば、リュシー・ペリの小屋を出た際、未亡人の娘が自分を待ち伏せているかのような気配を察し、その姿を見るや娘は足早に自宅へ駆け戻ったという。また彼は、未亡人が戸口で一人の男と話し込んでいるのを目撃し、その声から男がヴィトーリであると確信したと述べた。それから間もなく、パン焼き窯の前に差し掛かった瞬間、彼は凶弾に倒れたのである。ただし公報は、被害者によるこれらの一連の供述を第三者の客観的証言と同列には扱わず、あくまで当人の申立てとして記している。

被害者の傷口からは、もう一つの動かぬ証拠がもたらされた。摘出された弾丸は細長い形状をなし、一端に小さな穿孔が施されていた。管轄治安判事の検証によれば、それはヴィトーリが一八八三年十月にピエトリ・マルシリウスと銃を交換した際、相手に渡した銃の規格と寸分違わぬものであった。証人コロンバーニ・ペディアコもまた、十一月二日にヴィトーリが山鶉狩りの支度をしていた際、銃身から抜き取った弾丸がこれと完全に一致していたと証言した。新聞は弾丸と銃との物理的符合を強調して報じているが、法医学鑑定の公式調書や、この証拠に対する陪審員の判断までは採録していない。

ヴィトーリの立場を危うくする証拠は、彼の軽率な放言からも浮上した。未亡人の兄弟であるラファエル・ガンボッティ、ならびにジャック=フランソワ・カルロッティの二名は、ヴィトーリから犯行の告白を直接聞いたと証言した。一方、未亡人が漏らしたとされる言葉については、記事の中に齟齬が見られる。冒頭の概説では、キアリという女の証言として、十一月十日にボッカ・ディ・タリアートで未亡人が二人の兄弟と言葉を交わしたとあるが、後の証言要旨では、事件の翌日にその対話が交わされたと記されている。同紙はその異同について検証を加えておらず、日付の矛盾も解かれぬままである。記事は未亡人が口にしたとされる言葉を、敢えてイタリア語の原文のまま掲載している。「あたいに腕っぷしさえあれば、他人の手など借りずに自分で片づけてやったものを(Se era stata buona l’avrebbe fatta da per me, non avrebbe aspettatu a l’altri.)」。フランス語の対訳は付されておらず、この科白も一証人の伝聞の域を出ない。

事件後、コロンバーニ未亡人はデフェンディーニ家が誰に疑いの目を向けているかを執拗に気に病んでいたという。マリー=コンスタンス・パオリが見舞いに行こうとすると、未亡人は何か聞きつけたら教えてほしいと言い添えた。また別の証人ユルシュル=マリー・デフェンディーニの証言によれば、未亡人は事件当夜にヴィトーリが訪ねてきたこと、そしてリュシー・ペリの小屋に被害者がいるかどうかを二人の子ども(パスクワリーナとルイ)に見に行かせたことを自白したという。その席で証人から真意を質された未亡人は、デフェンディーニに対する自らの憎悪を露わにし、「銃どころか大砲で撃ち殺されたって見逃してやったさ」と言い放ったとされる。

『裁判公報』の初期の記述によれば、未亡人は兄弟たちに対し、逮捕への恐怖を吐露しつつも、できることなら他人に頼らず自分の手で仕留めたかったと語り、ヴィトーリについては「あいつは軽口のせいで自ら墓穴を掘った」と評したという。こうした言葉はキアリの証言を通じて法廷に持ち込まれたが、被告人両名は頑として罪を否認し続けた。ヴィトーリはアリバイを主張したものの、新聞の記すところでは捜査の手続きによって容易に論破された。

公判廷において、被告らは証人たちが自分たちを陥れるために謀議を巡らせたと主張し、新聞はとりわけヴィトーリが告発者たちへ浴びせた激越な罵倒を克明に描写している。アンジェリ検察官は犯行の経緯を詳述して両名への有罪判決を求刑した。これに対しド・カラッファ弁護士はヴィトーリの無罪を主張。ブランシャール弁護士は共犯を構成する法的要件の欠如を説き、ジョゼフ・ド・モンテラ弁護士もまたコロンバーニに対する告発の不当を訴えて無罪を勝ち取ろうとした。かくて、復讐劇という一本の糸から始まった法廷の攻防は、引き金を引いた実行犯の特定と、未亡人の加担の度合いという二つの論点へと分肢していった。

裁判所はコロンバーニ未亡人に無罪を言い渡し、即座に身柄を釈放した。一方、ヴィトーリには予謀に基づく故殺未遂の罪で有罪が下され、二十年の強制労働刑が言い渡された。新聞の見出しは二つの名を謀殺未遂とその幇助という共犯関係の下に並べていたが、下された判決は両者の運命を截然と引き裂いたのである。その言動によって嫌疑の渦中に立たされ、起訴事実の太半を占めた女は放免され、公報において実行の手先と目された男一人に、過酷な刑罰の鉄槌が下されたのであった。

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中篇小説(ノヴェラ)

冬の宿の算盤

完全な創作による短編探偵小説。温泉街の賑わいが去った翌朝、ホテルの支配人が内側から施錠された地下酒蔵で死体となって発見される。疑われたのは二人の共同経営者であった。一方は多額の借財を抱え、他方は唯一の鍵を所持していた。だが、一人の洗濯女が、支配人の死後にワインの出納帳が何者かの手で清書し直されていることに気づく。帳簿に残された新たな筆跡は、捜査網から漏れていた一人の給仕と消えた銘酒とを結びつけていた。予審判事は、殺害に先立って行われた窃盗と、捜査を攪乱するために捏造された偽りの共犯関係とを見破らねばならない。舞台、登場人物、事件およびその顛末はすべて架空のものである。

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長篇小説(ロマン)

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大河三部作(トリロジー)

アルマン判事の三冊の手記

完全な創作による三部作の警察小説。一人の予審判事が、それぞれ独立した三つの難事件に対峙する。第一部は印刷業者の怪死に伴う遺産横領事件、第二部は軍事機密地図を携えた伝令使の失踪、そして第三部は破産前夜に起きた銀行頭取の毒殺事件である。各巻において、当初は主犯格のアリバイを裏付ける偽りの証人が現れるが、物証の緻密な検証によって、それらの証言がいかに巧妙に仕組まれたものであったかが暴かれていく。最終巻に至り、判事は自らの信頼する裁判所書記が、無実の者三名に容疑を着せ続けるために証拠書類を偽造していたという驚愕の真相に到達する。犯罪、人物、結末はすべて架空のものである。

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歴史的典拠と文学的再構成について

『裁判公報』(Gazette des Tribunaux)五四五面第四欄から五四六面第一欄に掲載された、コルシカ重罪裁判所の見出しから判決言渡しに至る全記事に基づく(後続の別記事は除外)。同紙は起訴状の要旨をまとめ、証言、弁論、判決を報じているが、公式な公判記録(訴訟記録原本)をそのまま転載したものではない。本稿は現存する紙面スキャンより当該記事のみを通読して作成されたものであり、同号の他欄や未収録の裁判資料全般を網羅するものではない。なお、原文印刷における人名・地名の表記揺れ(Vitori/Vittori、Cazella/Casella、Albertino/Albertini)はそのまま本文中に注記してある。

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