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『ヨーロッパの獄舎』第I巻 · マケ&アルボワーズ共著、1845年

ビセートル監獄

パリ(ジャンティイ/ル・クレムラン=ビセートル) · フランス · 1719年 – 1843年
「異端審問所の地下牢という越えがたき墓碑銘、ビセートル狂人棟の狂乱と叫喚……」『ヨーロッパの獄舎』第I巻
主な収容者
  • カルトゥーシュ(その愛人たち/配下の徒党)
  • デュシャトレ
  • ニコラ・ギヨ
  • オジャール・ギンドン
  • ドロネー
  • ラフレネー
  • イジドール・ミュニエ
  • ジョルジュ・カドゥーダルおよびその副官たち
  • エルヴァゴー(偽のルイ17世)
  • サント=レーヌ伯爵
  • コントラファット
  • フーキエ=タンヴィル(視察)
  • ミラボー、バレール、フレトー、カステラーヌ(1789年視察)
年表
  • 1719年4月冒頭の場:四月のある夜、サン=ヴィクトール街を疾走する男――本書の扉を開く物語
  • 1789年国王の封印状(レクトル・ド・カシェ)廃止。ミラボー、バレール、フレトー、カステラーヌによるビセートル視察
  • 1792年(要検証)ビセートルにおけるギロチンの実地実験(同機械の最初の試験運用)および断頭台の沿革
  • 1792年9月ビセートルにおける九月虐殺
  • 1793年-1794年(要検証)ビセートルにおける「獄中陰謀事件」。フーキエ=タンヴィルの来訪。オセラン事件とシャリー侯爵夫人
  • 1806年;1843年第一共和政、帝国、復古王政下のビセートル。1806年の脱獄と虐殺。1843年当時の獄舎の現況
叢書『ヨーロッパの獄舎』(全8巻、オーギュスト・マケ&アルボワーズ原著)――フランス国立図書館(Gallica)秘蔵原典に基づき再編・注釈を施した初の大規模現代版。近刊。
📍パリ(ジャンティイ/ル・クレムラン=ビセートル) · フランス
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🕯️ 夜話クロニクル · 欧州20大伝説監獄&フランソワ・ピコー調査録夜の読書 · 約6分

生ける者の地獄――ビセートル、暗黒坑道の夜

狂人棟の咆哮と徒刑鍛冶の鉄鎚が谺する下、亡者らは虚無の前庭より自由を奪い返すべく石灰岩の底を穿つ。

ジャンティイの冥府下り

陽光さえ射し込むのを拒む敷居というものが、この世には存在する。寒風吹きすさぶジャンティイの高台に、ビセートルの黒々とした巨軀が聳え立っていた。癩病を病んだかのごときその外壁は、半ば要塞にして半ば巨大な墓碑銘であり、重苦しい冬の終わりの霧を突いてパリを睥睨していた。骨髄まで凍てつかせる東風のなか、鉄板を打ちつけた樫の重扉が、陰鬱な轟音を立てて閉ざされた。またひとつ、無告の窮民と凶徒の群れが呑み込まれたのだ。ビセートルは単なる獄舎ではない。旧体制(アンシャン・レジーム)が生み落とした醜悪なる澱みであり、王政につづき共和政や軍事裁判所が、狂乱者、追い剥ぎ、王党派の陰謀家、そして帝都の路傍に棄てられた孤児たちを無差別に投げ込んだ底なしの奈落であった。

受附の潜り戸を一歩越えるや否や、低く絶え間ない地鳴りのような響きが鼓膜を打つ。喉を掻きむしる喘鳴、獣じみた咆哮、鉄鎖の擦れ合う軋み、そして呪詛。それは地下深く隠された土牢の真上に重なる、狂人たちの監房から湧き上がる叫喚であった。幽鬼のごとき者どもが、細い明かり取りの格子から骨ばかりの腕を突き出し、黴の生えたパンの切れ端を乞うている。擦り切れた仔牛皮の入牢原簿を前に、寒さにかじかんだ指の書記が鵞ペンをインク壺に浸した。その卓の向かいには、かの悪名高き盗賊カルトゥーシュの片腕として修羅場をくぐり抜けてきた古強者、ニコラが立っていた。眼光は昏く、奥歯は硬く噛み締められている。彼にも、そして連行された二十余名の罪人にも、宣告は容赦なく下されていた。頸木、過酷な輸送隊の出発、そして血塗られた旅路の果てに待つブレストの徒刑場である。

亡者たちの金床

不吉な名を持つサン=ジャン中庭の踏み固められた土には、冷や汗と赤錆、そして焦げた火口の饐えた臭気が染みついていた。年に二度、この庭は世にも凄惨な司法の生体劇――「鎖締め(フェラージュ)」の舞台と化す。この生ける悲劇を一目見ようとパリ中から群がり集まった物見高い観衆のただ中で、徒刑囚たちは二人ずつ列をなして座らされ、脂じみた敷石の上で剥き出しの膝を震わせていた。

「異端審問所の地下牢という越えがたき墓碑銘、ビセートル狂人棟の狂乱と叫喚……この城壁に近づく旅人は、業火に焼かれる亡者どもの咆哮を耳にするかのごとき錯覚を覚える。」

煤にまみれた革の前垂れを膝に打ちつけた王座付けの鍛冶職人たちが、赤々と熾る炭火で鋲を真っ赤に灼いていた。ニコラは、移動式の重い金床が自らの頸椎にあてがわれるより早く、炭の放つ熱風を肌に感じた。渋塗りの帽子をかぶった二人の衛兵が、鋼の万力のごとき腕力で彼を地にねじ伏せる。喉笛からわずか数ミリのところで、灼熱の鉄に鎚が振り下ろされた。一撃ごとに衝撃波が脊髄を走り抜け、頭蓋骨は青銅の鐘のように激しく共鳴する。わずかでも身じろぎすれば、頭蓋は砕け散る。鎖番の小者が酢を混ぜた大量の水を浴びせ、冷えた留め金を打ち倒すと、硫黄の混じった白煙がシューと音を立てて獲物を包み込んだ。いまやニコラは、二十人を数える徒刑隊の一個の環にすぎず、執行猶予のついた屍同然の男たちと永遠に分かちがたく鎹(かすがい)で繋ぎ止められたのである。

採石坑道の陰謀

だが、看守たちの足許、サン=ジャン中庭の敷石の真下には、人知れぬもうひとつの世界が広がっていた。ジャンティイの古採石場――幾世紀もの歳月をかけてビセートルが呑み込んできた、暗黒の腸(はらわた)たる石灰岩の迷宮である。「井戸」と呼ばれる最深層の地下牢は、優に地底三十フィートの深みに達し、壁面からは濁った腐水が滴り、腐敗した藁の上を丸々と太った野鼠が臆面もなく走り回っていた。

この暗澹たる胎内において、およそ不可能な夢がひそかに育まれていた。何ヶ月も前から、囚人たちは鉄の楔と、壊れた拘束台の枠から引き抜いた一本の鋼鉄の棒を隠し持っていたのである。上層で狂人たちが月に向かって夜通し吠え猛る物狂おしい狂騒に紛れ、毎夜、一人の男が岩を穿った。凍てつく泥土のなかに腹這いになり、獣脂の芯さえ消え入る悪臭の淀みで息を詰めながら、ニコラは脆い石肌を削りつづけた。白亜は一粒また一粒、一塊また一塊と崩れ落ちた。掻き出された土砂は肥桶のなかに細かく散らされるか、粗朶の敷藁の下に隠された。頭上では看守の重い軍靴が死の振り子のように規則正しく谺し、足下では、サン=ジャック界隈へと通じる忘れられた地下道――カタコンブの自由へと向かって、闇がぽっかりと口を開けていた。

幽鬼たちの夜

墓穴を破る日と定めたのは、四月の激しい嵐の夜であった。雷鳴が鉄の軋む音をかき消し、中庭を洗う豪雨は歩哨の耳を塞ぐ絶好の盾となった。絶望的な力で肩をぶつけ、ニコラと三人の謀議者は最後の石灰岩の塊を打ち破った。生温く饐えた冷気とともに破れ口が開き、何百年もの闇を湛えた採石坑道の真の暗黒が姿を現した。

岩肌の突起で生爪を剥がし、皮膚を裂きながら、囚人たちは一人、また一人と狭小な抜け穴へ滑り込んだ。だが、最後の徒刑囚が裂け目に身を滑り込ませたその刹那、足首に残された重い鉄鎖が通気格子の扉に激突した。鋭く冴えわたる金属音が、闇を貫いて番兵の詰め所へと跳ね上がった。叫び声が轟く。「非常呼集! 警備兵、出動!」 ビセートルの非常鐘(トクサン)が狂気じみた早鐘を打ち鳴らし、目を覚ました五百人の狂人たちがその警報に獣のごとき嬌声を重ね合わせた。

地下道深く、逃亡者たちは湿った土の匂いと、微かに残る外界の空気の記憶だけを頼りに手探りで疾走した。背後では早くも兵たちの松明に火が灯り、石造りの円頂に蠢く巨人の影を投げかけていた。血と古革の臭いに狂乱した軍用犬が、死を告げる咆哮をあげて迫る。幾筋もの地下水脈の間を匍匐し、崩れ落ちる砂の行き止まりに呑み込まれかけながら、ニコラはついに、蒼白くかすかな光を見出した。ジャンティイの叢林へと通じる、露天採石場の明かり取りの穴であった。人智を超えた渾身の力で最後の鉄格子をへし折り、彼が泥まみれの土から這い出た瞬間、最初のマスケット銃の鉛弾が頭上の梢を切り裂いて唸りを上げた。ビセートルの底知れぬ井戸は、こうして彼の背後に取り残された。しかし、暗黒の獄舎の恐怖によって魂の奥底まで焼印を押されたその男が、真に解き放たれた者の安らぎを知る日は、二度と訪れることはなかったのである。